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プログラムとは、コンピュータを制御するために書かれる指示書のようなもののことで、指示書には命令が並べられています。そして、このような指示書を書くときに何らかのプログラミング言語を使います。また、指示書はそれぞれのプログラミング言語特有のルールによって書かれ、そのルールは文法と呼ばれています。
ところで、パソコンを使って初めてプログラミングをしてみたいと思ったら、まず何をすればよいのでしょう。
甚だ不正確な言い方になりますが、プログラミングをするには、プログラミング言語自体がパソコンにインストールされている必要があります。つまり、プログラミング言語もアプリやソフトウェアと同じように、インストールして使うものなのです。
プログラムが実行される仕組み
コンピュータは デジタル回路で作られています。そして現在のコンピュータのデジタル回路は 0 または 1 という2つの状態を扱うようにできています。ですから、コンピュータに与える命令も本来、 0 または 1 が並んでいるものであらわされます。また、0 または 1 が何桁並ぶのかということは、使っているコンピュータによって決まっています。(2024 年現在主流の 64 bit コンピュータでは 64 桁です。)つまりコンピュータに与える命令は、予め決められた桁数の2進数で記述されています。そしてこれを次々にたくさん並べてプログラムができあがることになります。これが機械語で書かれたプログラムです。(ですから 2024 年現在主流の 64 bit コンピュータでは、プログラムは 0 または 1 が 64桁に渡って並んでいるもの、つまり64桁の2進数を次々に並べて機械語のプログラムが記述されるわけです。)
しかし、0 または 1 がひたすら並んで書かれているプログラムは人間には辛いものです。そこで、もっと人間でも扱いやすいものがいろいろ考え出されました。例えば、アセンブラ言語と呼ばれるものがあります。これは 0 と 1 を並べるのではなく、アルファベット、英単語を略した言葉、数字を並べて書くもので多少機械語より読みやすくなっていますがほぼ機械語と変わりません。また、現在主流となっているのは高水準プログラミング言語と呼ばれるもので、アセンブラ言語に比べると、はるかに人間にとってわかりやすい記述をすることができます。
高水準言語と一言で言っても様々な言語があります。例えば、C 、Java、Ruby、Python、PHP というプログラミング言語の名前を耳にしたことがあるかもしれませんが、これらは高水準プログラミング言語です。
次は C 言語で書かれたプログラムの例です。
#include <stdio.h>
int main(void){
int x, y, z;
x = 10;
y = 7;
z = x + y;
printf(%d, z);
return 0;
}
これを見ると想像がつく人も多いと思いますが、このプログラムでは、
- 整数(integer)の値を取る変数 x、y、z を用意
- x の値を 10 にする
- y の値を 7 にする。
- x と y の値を合計し z に代入
- 整数 z の値を表示(printf)
- プログラムの終了 (return 0)
ということを実行します。このように、高水準プログラミング言語では人間でも想像できる英単語やアルファベット、記号などを用い、人間にも意味が理解しやすい表現を用いて命令を記述します。
ところで、コンピュータは機械語、つまり 0 と 1 で書かれたプログラムしか理解しません。ですから、高水準プログラミング言語で書かれたプログラムを機械語に読み替えるソフトウェアが必要となります。機械語に読み替えるソフトウェアは大きく分けると2つの種類があります。1つはコンパイラ(翻訳者という意味)と呼ばれ、もう一つはインタープリタ(通訳という意味)と呼ばれています。(厳密にはコンパイラは高水準プログラミング言語をアセンブラ言語に読み替えます。)このような手続きを経て、人間が高水準プログラミング言語を使って書いたプログラムをコンピュータは実行できるようになるわけです。
コンパイラを使うのか、インタープリタを使うのかということは、プログラミング言語によって決まっています。例えば C はコンパイラ、Python はインタープリタを使います。
プログラミング言語の実行環境
初めの方で、プログラミングをするには「プログラミング言語自体がインストールされている必要がある」と言いました。これは、もっときちんというと、「使おうと思っているプログラミング言語を実行するためのソフトウェア一式」がパソコンにインストールされている必要があるということです。そして、このようなソフトウェア一式のことを実行環境といいます。
前の節の説明を思い出してみれば、実行環境として、まず言語に応じたコンパイラまたはインタープリタが必要だということは想像できると思います。この他にもリンカと呼ばれるものや、デバッガと呼ばれるものも言語に応じて必要になることもあります。(ここではリンカやデバッガについての説明はやめておきます。)
実行環境のインストール
パソコンの種類によっては、実行環境として必要となるソフトウェア一式がはじめからインストールされていることがあります。例えば、Mac や Linux では、はじめからPython 実行環境がインストールされています。ただ、バージョンが最新ではなかったりするなどの理由から、改めて最新版をインストールするということも多く行われます。
実行環境として必要となるソフトウェア一式がはじめからインストールされていないとかバージョンが最新のものを使いたいときなど、新たに必要となる場合は、基本的にはそれらをまとめて一度にインストールすることができます。つまり、それぞれの言語に対応しているインストーラがあるので、インストーラを配布しているサイトからダウンロードしたり使っているパソコンに備わっているソフトウェアセンター(アプリセンターとかアプリストア)からパソコンに導入することができます。
例えば、Windows のパソコンで Python というプログラミング言語をつかってプログラミングをしてみたいと思ったとしましょう。
Python の実行環境は Windows パソコンにはもともとインストールされていないのため、実行環境を手に入れることが出来るウェブサイトへ行き、実行環境となるソフトウェアをパソコンへダウンロードし、さらにパソコンへインストールする必要があります。大まかには、次のような流れになります。
- 次のリンクから Python 本家のサイトのトップページへアクセスします。(本家以外のサイトでも実行環境のインストーラを配布している場合があります。しかし、本家以外のサイトからダウンロードするのは危険な場合があります。判断に迷う場合は、念の為、公式サイトからインストールするのがよいでしょう。)
https://www.python.org/ - Python 実行環境をダウンロード出来るページへのリンクを探し移動します。Downloads と書かれているボタンとか、Latest ○.○○.○ (○.○○.○ の部分はバージョンをあらわす数)などと書かれているリンクがあると思います。
- Download ページへ移動したら、(ここでは Windows に Python 実行環境をインストールする話をしているので)最新版(latest)安定版(stable)で自分のパソコンにあった bit 数(2024年現在主流のパソコンは 64 bit)の Windows 用 Python 実行環境インストーラを探し、パソコンへダウンロードします。
実行環境インストーラというのは、実行環境をパソコンへインストールするナビゲーションをするソフトウェアです。また、ダウンロードページにはインストーラ以外にも、例えば embeddable package という名前のものなどがありますが、これらは少し特別な用途で使うものなので、Windows installer と書いてあるものをダウンロードしましょう。 - インストーラがダウンロードできたら、クリックして起動し、ナビゲーションに従いインストールしていきます。ここで注意したいのは、ちゃんとパスを通しておくということです。Add …, … to PATH というような項目が用意されていて、チェックを入れるようになっていたりします。ここにチェックを入れておくと、パソコンは Python 実行環境のインストールされた場所を自動的に検知するようになります。
- Setup was successfull(設定が成功しました)のような表示が現れたらインストールが完了です。close ボタンを押してインストーラを閉じましょう。
これで Windows パソコンで Python というプログラミング言語をつかってプログラミングが出来るようになりました。
ここでは 例として Python の話をしましたが、他の言語についても似たような手順で実行環境をインストールすることができます。(とは言うものの、言語によって結構まちまちな面もあります。)
最後に、ウェブサイトを作成するときによく使われる JavaScript と PHP の実行環境について少し補足しておくことにします。
JavaScript はウェブブラウザ上でウェブページに動作をあたえるためによく使われているプログラミング言語です。実は、JavaScript をウェブページの動作を与えるために使う場合、実行環境のインストールは必要ありません。プログラムを書いてすぐにブラウザ上で実行することができます。
PHP は主に、インターネット上のどこかにありウェブサイトが格納されているサーバー側で使われる言語です。ですから、PHP によるプログラミングをしたい場合は PHP の実行環境だけでなく、ウェブサーバーとしてコンピュータを動かすために必要となるソフトもインストールする必要があります。